酸欠作業の入退場記録、監視人が中を見られないときに位置データが補うもの
2026-09-28
下水処理施設のマンホールの蓋が開き、酸欠作業が始まります。二人がはしごを降りていくと、入口に残った監視人に見えるのは、はしごの最初の数段とヘルメットの上の部分までです。そこから先の中の様子は、無線機越しの声でしか伝わってきません。出入口の横には、作業日時と作業者の名簿、酸素濃度と硫化水素濃度の測定結果を書いた紙が貼ってあります。
入口に立つ監視人には、規則上の根拠があります。酸素欠乏症等防止規則(以下、酸欠則)第13条は、作業の状況を常時監視し、異常があったときに直ちに酸素欠乏危険作業主任者やその他の関係者に通報する者を置く等、異常を早期に把握するために必要な措置を講じるよう定めています。
その役割が重い理由は、数字にあります。厚生労働省が2026年8月に取りまとめた資料によると、酸素欠乏危険作業等で2025年に発生した休業4日以上の労働災害は、酸素欠乏症が2件で被災者4人、うち死亡者3人、硫化水素中毒が5件で被災者10人、うち死亡者7人でした。
この現場に位置測位を持ち込もうとすると、まず、外に取り付けたアンカーに中が見えるのかという問いにぶつかります。金属と土に囲まれた空間では、答えはたいてい「いいえ」です。だから設計は、監視人が立っている場所、つまり入口から始まります。
I. 酸欠作業の規則が入口に置いているもの
酸欠作業は、酸欠則の言葉では酸素欠乏危険作業と呼ばれ、労働安全衛生法施行令別表第6に掲げる酸素欠乏危険場所における作業を指します(酸欠則第2条)。別表第6には、ケーブルやガス管など地下に敷設される物を収容する暗きょ・マンホール・ピット、相当期間密閉されていた鋼製のボイラー・タンク・反応塔、し尿や汚水など腐敗しやすい物を入れたことのあるタンク・槽・マンホール・ピット、窒素やアルゴンなど不活性の気体を入れたことのあるタンク・反応塔の内部が並んでいます。特定の地層に接する井戸やたて坑、ずい道、潜函の内部も含まれ、上下水道、化学、製造、建設の現場がみなこのリストにかかります。
作業の前には、責任者と掲示も決まっています。酸欠則第11条は、技能講習を修了した者のうちから酸素欠乏危険作業主任者を選任するよう定め、第12条は作業に就く労働者への特別の教育を求めています。作業主任者を選任したときは、その氏名と行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により、関係労働者に周知させます(労働安全衛生規則第18条)。
入口で守る条文は、さらに三つあります。第8条は労働者を作業場所に入場させる時と退場させる時に人員を点検するよう定め、第9条は酸素欠乏危険作業に従事する作業従事者以外の者の立入りを禁止し、その旨を見やすい箇所に表示するよう求めています。第14条は、酸素欠乏等のおそれが生じたときは直ちに作業を中止し、作業従事者をその場所から退避させるよう定めています。
条文を、人の判断が要る仕事と記録として残る仕事に分けてみると、「誰が、何人、いつ入り、いつ出たか」は記録の側にあります。位置データが手伝えるのは、そこまでです。
II. 濃度は測定器が、判断は人が、出入りは記録が
位置の記録は空気を知りません。酸欠則第3条は、その日の作業を開始する前に作業場の空気中の酸素濃度(第二種酸素欠乏危険作業では酸素と硫化水素の濃度)を測定し、測定日時や測定箇所、測定結果、測定を実施した者の氏名などをそのつど記録して、3年間保存するよう定めています。第2条は空気中の酸素濃度が18パーセント未満である状態を酸素欠乏とし、第5条は換気によって作業場所の酸素濃度を18パーセント以上(第二種では、あわせて硫化水素濃度を百万分の十以下)に保つよう求めています。この数字を測るのは測定器で、測定を行い作業の方法を決めるのは作業主任者です。
監視人と作業主任者の仕事も、機器が代わるものではありません。異常に気づき、救助を求め、退避を指揮するのは人です。
位置の記録が知っていることは、狭い範囲です。どのタグが入口を越えたか、どちらの方向に何時何分に越えたか、いま区域の中にいくつあるか。その狭さが役に立ちます。作業許可書の名簿は、入る予定の人を書きます。入退場記録は、実際に入口を越えた人を書きます。
III. 金属と土に遮られる電波、入口の基準線か内部アンカーか
UWB位置測位はタグの信号をアンカーが受けて位置を計算しますが、酸欠作業の場所は電波に対しても閉じています。鋼製タンクの壁は信号を遮り、土とコンクリートに囲まれたマンホールやピットは信号を大きく弱めます。開いた入口から漏れ出る信号があっても、中の位置を計算できるほど安定しません。外に取り付けたアンカーも、監視人と同じように中を見ることができません。
そこで設計は二つに分かれます。一つめは、監視人と同じ場所に立つ方式です。信号がまだ届く入口の外側、立入禁止の区域に入る地点に基準線を引き、ORBRO OSのIn-out Trackingで、誰がどちらの方向に越えたかを残します。入口まわりの作業区域の人数はZone Countingが数えます。中に入った人が図面から消えるのはこの設計では正常で、その人が中にいるという事実は、入った記録と出た記録のあいだの空白として残ります。
二つめは、中にアンカーを置く方式です。地下の共同溝や何日もかけて整備する大型タンクのように、空間が大きく作業が長い場合は、内部にアンカーを置いてZone Countingで中の人数を直接数えます。TwinTracker UWBのアンカーのカバレッジは見通しのよい条件で50mなので、隔壁や曲がり角の多い空間では、アンカーの間隔を現場の実測で決めます。
| 条件 | 入口の基準線による設計 | 内部アンカーによる設計 |
|---|---|---|
| 向いている空間 | 出入口が一つのマンホール、ピット、小型タンク | 地下の共同溝、大型タンク、船舶ブロックの内部 |
| 中に残っている人 | 入った記録のあとに出た記録がないタグ | Zone Countingの現在人数 |
| 中での位置 | 分からない | 区域単位で確認 |
| 人数超過の通知 | 記録を見て人が判断 | 内部人数の条件で通知 |
| 前提 | すべての出入口に基準線を引けること | 作業期間中、中にアンカーを置けること |
短く出入りの多い作業には入口の基準線で足り、長くとどまる作業や何人もが散らばる作業には内部アンカーを足します。どちらの場合も、入口の基準線は残しておきます。第8条が人員の点検を求める入場と退場、その二つの瞬間がいちばんはっきり記録に残る場所が入口だからです。
IV. ORBRO OSで残す酸欠作業の入退場記録と通知
In-out Trackingの記録には、基準線を越えた結果が日付、時刻、方向、オブジェクト、位置として積み上がり、ファイルでダウンロードできます。内部アンカーを置いた空間なら、Timelineが作業者ごとの区域の滞在履歴を日別に表示し、Excelに書き出せます。
人数の通知は、Zoneデータの値で作った条件でかけます。許可された人数が三人のタンクなら、「タンク内部の人数が4以上のとき」を、緊急、警告、注意、関心、正常の5段階のうち一つの等級で通知します。この条件にSOPをつないでおけば、条件が満たされたときに担当グループが処理するSOPが生成されます。その手順は、選択式の確認と時刻の入力、SMS送信、カメラ確認のステップで組みます。
関係者以外の接近はAlert Zoneが受け持ち、入口の区域に許可対象ではないカテゴリのタグが入ると通知します。タグを着けていない人と今日の作業許可書は、この通知が知らない領域なので、立入りの管理と名簿の照合は許可者と監視人の役割として残ります。入口を映すカメラがあれば、AI Event Managerが人の倒れ込みを検知し、Horn SpeakerやSignal Towerで入口のまわりに知らせます。
入口に監視人が立っているのに、なぜ記録が要るのかという反論があります。出入口が一つで、作業が一時間以内に終わるなら、名簿と無線機、手書きの入退場記録簿で足りるかもしれません。記録が必要になるのは、複数の入口が同時に開くとき、作業が交代をまたぐとき、休憩のあと再び入るときです。酸欠則第11条は、作業に従事するすべての労働者が作業場所を離れたあと、再び作業を開始する前にも、作業主任者に酸素濃度を測定させるよう定めています。その測定と測定のあいだの出入りをたどれるようにするのが、記録です。警報が鳴って全員が出てくる瞬間には、監視人の目と名簿の横に、「出た記録のないタグ」という二つめの確認が加わります。監視人に代わるのではなく、確かめる根拠をもう一つ渡すことです。
V. 酸欠作業に位置の記録を取り入れる前に確認すること
- 事業場の酸素欠乏危険場所の一覧。場所ごとに材質、出入口の数、一度に入る人数、ふだんの作業時間を書いておくと、二つの設計がここで分かれます。
- 基準線を引く場所。信号が途切れる前の、立入禁止の区域に入る地点である必要があり、出入口が複数あればすべてに引きます。
- 爆発の危険の有無。労働安全衛生規則第280条は、引火性の物の蒸気や可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所では、防爆構造電気機械器具でなければ電気機械器具を使用してはならないと定めています。中に入るタグと内部アンカーも、この条件から検討します。
- タグを渡す順序。作業者と監視人、協力会社の人員をカテゴリに分け、作業許可書を受けた本人がタグを着け、作業が終わったら返却するようにしてはじめて、記録が人を指すようになります。
おわりに
作業が終わると二人がはしごを上がってきて、監視人は名簿を確かめてからマンホールの蓋を閉めます。そのとき手にあるのが紙一枚だけでなく、入った記録二つと出た記録二つなら、中に誰もいないという確認は二重になります。蓋を閉める前に最後に見る数字。位置の記録が酸欠作業に補うのは、その数字です。
ORBROは作業者のタグとTwinTrackerのアンカー、管制ソフトウェアORBRO OS、カメラAIのAI Event Managerを自社で作っています。だから入口の基準線と内部アンカー、入口のカメラを、一枚の図面の上で一緒に設計できます。酸素欠乏危険場所の一覧と場所ごとの出入口の数、ふだんの作業時間を整理してお問い合わせいただければ、入口の記録で足りる場所と中にアンカーが必要な場所を、一緒に切り分けます。
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- 수치 교체: ko 적정공기 4개 수치(O2 18~23.5%, CO2 1.5%, CO 30ppm, H2S 10ppm) → 酸欠則 第2条(18% 미만=산소결핍)·第5条(환기로 18% 이상, 제2종은 H2S 백만분의 10 이하). ko 제619조의2 측정 기록 3년 → 酸欠則 第3条 측정 기록 3년 보존
- 통계 교체: ko 고용노동부 2015~2024년 298명·126명 사망 → 厚労省 「令和7年に発生した酸素欠乏症等の労働災害発生状況」(2026-08-07) 2025년 휴업 4일 이상: 산소결핍증 2건·4명·3명 사망, 황화수소중독 5건·10명·7명 사망(원문에 적힌 수치만, 합산하지 않음)
- IV장 반론의 「KOSHA 지침 관리감독자 확인 간격 최대 1~2시간」 → 酸欠則 第11条 「전원이 작업장소를 떠난 뒤 작업 재개 전에도 측정」으로 교체(측정과 측정 사이의 출입을 기록이 채운다는 논리 유지). V-3 방폭 근거 KOSHA 지침 → 安衛則 第280条(防爆構造電気機械器具)
- 뺀 것: I장 KOSHA GUIDE 문단(허가서 확인 항목·경보 시 감시인 확인)은 일본 대응 원문이 없어 삭제하고 그 역할은 第8条·第14条 문단이 맡음(I장 5→4문단). ko 「2025년 12월 개정 소방관서 신고」는 대응 조문 없음. 「작업허가서」는 일본 법정 서식이 아니므로 현장 서류로만 등장(법 근거로 쓰지 않음)