物流センターの人員配置、シフト計画表と実際の工程人数が食い違う理由
2026-09-17
午後3時、シフト計画表には検品エリアに12名と書かれています。人員配置どおりなら12名いるはずのそのエリアを管理者が通路の端から見渡すと、見えるのは7名です。残りの5名は梱包エリアに行っているか、出荷待ちの貨物の前でフォークリフトを待っているか、まだピッキングから戻っていないかのどれかです。どれなのかは、歩いて行って聞いてみなければ分かりません。計画表の数字と現場の数字が違うこの午後は、物流センターでは珍しいことではなく、毎日起きていることです。
問題は、その差があること自体が悪いという話ではありません。物量は時間帯ごとに波打ち、人はその波に合わせて動きます。問題は、その差を誰も記録していないことにあります。一日が終わると計画表だけが残り、人が実際にどこにいたのかは管理者の記憶にしか残りません。翌週の配置表は、その記憶の上で組み直されます。
この記事では、物流センターの人員配置を位置データで見える化し、計画と合わせる方法を扱います。出退勤の記録ではなく、勤務時間の中で人がどの工程にどれだけ滞在したのか、その分布をどう数え、どう配置に戻して使うのかという話です。
I. 計画表は午前に書かれ、現場は午後に変わります
シフト計画表は、前日の夕方か当日の朝に作られます。予想物量、出勤人数、休憩時間を入れて、工程ごとに人を振り分けます。ここまでは、どの物流センターでもほぼ同じです。
ところが、計画表が完成した瞬間から、現場は計画表から離れ始めます。午前に集中するはずだった入荷が午後にずれ込み、検品で問題が出た貨物のせいで梱包ラインが空き、応援人員がどの工程に付いたのかは付けた本人しか知りません。計画表はその日の意図であり、実際の分布はその日の結果です。両者が違うのは当然です。
当然の差を問題にしてしまうのは、その差が消えてしまうことです。夕方になると結果はなくなり、意図だけが書類として残ります。だから次の計画表は前の計画表を少し直したものになり、同じ工程で同じ待機が繰り返されます。
班長が見回れば分かるのではないか
現場を知る人はこう言います。班長が一周すれば、どこが混んでいてどこが空いているかは全部分かる、と。その通りです。ただ、一人が一度回るのは、一つの時間帯の一場面にすぎません。班長が検品を見ていた時刻に梱包で何が起きていたかは分からず、班長が会議に入っていた2時間は丸ごと空白です。
巡回は標本であり、管理者の目は一日に数回しか開きません。人員配置を根拠をもって変えるには、標本ではなく全数が必要です。一日中、すべての工程で、同じ基準で数えられた数字です。
II. 位置測位で工程別の人数を数える方法
作業者が身に着けたORBRO Tagの信号を、工程の周辺に固定したTwinTracker UWBが受信し、ORBRO Edge RTLSが位置を計算します。その上でORBRO OS2がやることは単純です。管理者が地図上にピッキング、検品、梱包、出荷エリアの境界を描いておけば、その境界の中にあるタグの数が、そのままその工程の現在の人数になります。
ここから三つの数字が出てきます。
1. 今、各工程に何人いるのか
エリア内にあるタグを基準に現在の人数が集計され、時間帯ごとにどう変化したかも一緒に残ります。計画表の12名と検品エリアの7名が、初めて同じ画面に並びます。
2. 人がどの通路を行き来しているのか
期間を選んで保存された位置履歴をレイアウト図の上で再生すると、作業者が工程間をどの順序で移動し、どの通路をよく使ったかが見えます。動線分析で繰り返し行き来している区間が見つかれば、作業順序を変える根拠になります。
3. どこに長く滞在しているのか
地図に登録した境界を基準に進入と退出の時刻が記録され、同じタグの二つの時刻の差が、そのエリアに滞在した時間になります。人が集中したり滞在が長くなったりする工程が、停滞区間の候補として上がってきます。エリアの境界を通過した時刻を履歴として残す方式は、製造工程のトレーサビリティの記事で製品を対象に扱ったものと同じ原理です。
ここで一つ、はっきりさせておくべきことがあります。滞在が長いことが、そのまま待機を意味するわけではありません。検品エリアに長くいた人は、長く働いていた人かもしれませんし、長く待っていた人かもしれません。その判断は、当日の作業量と現場の状況を知る管理者の役目です。位置データはどこを先に見るべきかを絞り込むだけで、何が問題なのかを代わりに言ってくれるわけではありません。
III. 三つの記録の違い
| 区分 | シフト計画表 | 現場巡回 | 位置集計 |
|---|---|---|---|
| 教えてくれること | どこに何人置くことにしたか | その瞬間どこが混んでいるか | 一日中どこに何人いたか |
| 時点 | 勤務開始前 | 見回った瞬間だけ | 勤務時間全体 |
| 残る記録 | 書類として残る | 記憶に残る | エリア別、時間帯別の数字として残る |
| 手間の程度 | 毎日作成 | 毎回歩く必要がある | 境界を一度描けば自動 |
三つは互いを置き換えるものではありません。計画表は依然として必要であり、巡回は数字が見せてくれないものを見ます。位置集計が加えるのは、計画と結果を同じ単位で並べて置けるようになることです。
IV. 数字を人員配置に戻す三つの方法
1. 再配置の前後を比較します
応援人員を投入した日付を基準に、その前と後の工程記録を比較します。ORBRO OS2でエリア別の人数データを日付ごとに照会してファイルに書き出し、同じ工程と同じ時間帯を選んで並べます。当日の作業量を一緒に見なければ、比較の基準が揃いません。物量が2倍だった日と普段の日をそのまま比べると、再配置の効果が物量の効果に埋もれてしまいます。
2. 計画に対して不足している工程を探します
シフト計画表に書かれた人数と、実際にその工程に滞在した人数を突き合わせます。エリア別の人数記録をダウンロードして配置表の横に置くと、12名と書いたのに7名だった時間帯が、どの工程で繰り返されているかが浮かび上がります。休憩時間は除いて見る必要があります。決められた休憩で空く時間を不足と読んでしまうと、存在しない問題を作ることになります。
3. 制限区域とタグの引き継ぎを運用基準に入れます
設備室や高額商品の保管スペースは、進入通知の対象エリアとして指定できます。登録したエリアに設定条件のタグが入ると運用者に通知が届き、回転灯を使う場合は出力装置を接続します。シフト前に支給するタグとシフト後に返却されたタグは、登録済みの機器一覧と状態で確認しますが、支給対象と引き継ぎ時刻、回収の有無は、タグの識別番号を基準に運用台帳へ別途残します。タグが人と一緒に動かなければ前述の数字がすべて揺らぐため、引き継ぎ手順はデータの前段階です。
V. 人ではなく工程を測ります
このデータを個人評価に使い始めた時点で、プロジェクトはその日で終わります。理由は道徳ではなく、データ品質です。評価に使われていると知られた瞬間、人はタグを席に置いたまま動いたり、動線を取り繕ったりします。そこから集まるのは実際の流れではなく演出された流れであり、配置の根拠には使えない数字になります。
だから集計の単位を、最初からエリア、工程、時間帯に置きます。「誰が遅い」ではなく「検品エリアの午後3時が計画より5名少ない」と出る画面であれば、会話は人ではなく物量と配置に向かいます。何を何のために測るのか、何は見ないのかを、始める前に現場に伝えることが、導入時の抵抗を減らす最短の道でもあります。配慮ではなく、データを守るための作業です。
同じ理由で、この記事は出退勤の記録とは別の話です。位置データで勤怠を自動化する方法は、位置情報による勤怠自動化の記事に別途まとめています。勤怠が「来たかどうか」を問うのに対し、人員配置は「勤務時間の中でどこにいたか」を問います。
VI. 導入時に決めておくこと
- 工程の境界を現場の言葉で描きます。ピッキング、検品、梱包、出荷のように現場で呼んでいる名前と実際の作業スペースが一致していなければ、数字は読めません。隣接するエリアは、実際の移動を見て境界を調整します。
- 測位方式を問いに合わせます。工程単位の分布はエリア単位の精度で足りることが多く、BLE測位やスマートフォンを使ったモバイル測位から始められます。通路単位の動線まで見るなら、UWB位置測位の構成が適しています。どこまでの精度を買うかは、何を問うのかから逆算して決めます。
- 比較の基準を先に決めます。再配置の前後、昼勤と夜勤、繁忙期と平常時のように、何と何を比べるかを決めておかなければ、数字を積み上げても何も変えられません。
- タグの引き継ぎをシフト手順に組み込みます。支給と返却がシフト会議の一行にならなければ、データは途切れます。
- 最初の問いを一つに絞ります。検品の午後の待機はなぜ繰り返されるのか、といった問い一つから始めれば、2週間以内に配置を変える根拠が出てきます。
おわりに
計画表の12名と現場の7名は、これからも違い続けるでしょう。物流センターとはそういうものです。変わるのは、その差が夕方になっても消えず、次の計画表の材料になるという点です。
ORBRO OS2は、位置と映像、センサーデータを一つの空間の上に整列させる監視制御プラットフォームです。エリア別の人数集計、移動履歴の再生、進入と退出の記録が標準で含まれており、書き出した記録は配置表と突き合わせたり、上位システムに渡して使ったりできます。物流センターの人員配置を見える化する構成は、物流センター作業者動線分析ソリューションのページにまとめています。どの工程のどの差を先に見たいかをお知らせいただければ、現場の条件に合った構成から一緒に検討いたします。