半導体工場の入退室管理と人数把握、位置をフロアとエリア単位でのみ保存する理由

2026-09-14

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半導体工場の入退室管理と人数把握、位置をフロアとエリア単位でのみ保存する理由

半導体工場の入退室管理を担当していると、安全点検の日に点検者から最初にこう尋ねられます。「今、この事業所には何人入っていますか。」担当者は入退場ゲートの記録を開き、今日入った人を数え、出た人を引いて、その数字を答えます。ところが、事務棟から生産棟へ移った人はどちらの数字に入っているのか、協力会社の来訪者は何人まだ中にいるのか、朝に打刻して少し外に出て戻ってきた人は二重に数えられていないか、と問い返されると答えが揺らぎます。数字は一つであるはずなのに、計算するたびに違う数字が出てきます。

半導体工場では、この質問がとりわけ難しくなります。事務棟と生産棟が分かれ、フロアが多く、クリーンルームに入れば人の区別がつきません。協力会社の作業者や来訪者も一日に数百人が出入りします。そのため人数把握は、「どのフロアに何人ですか」「そのうち所在確認ができない人は何人ですか」まで続けて初めて答えになります。

この記事では、その答えをつくる構成を整理します。要点は技術よりも設計にあります。どこまで保存し、どこから保存しないかを先に決めれば、導入の議論は短くなり、画面はむしろ役に立つものになります。位置測位のお問い合わせでは、多層階の建物でフロアをどう区別するのかという質問と、火災時に避難の人数確認と安否確認をどう進めるのかという質問が繰り返されますが、この二つの答えは同じ場所から出てきます。

I. 入退室管理は入ったことは分かっても、今どこにいるかは分かりません

まず「入退室管理システムの記録で数えればよいのではないか」という反論が出ます。もっともな指摘で、実際に多くの事業所がそのように数えています。ただし、ゲートの記録は入退場という出来事の記録であって、在室という状態の記録ではありません。

ゲートは人がドアを通過した時刻を残します。その後に3階の会議室へ行ったのか、地下の機械室へ降りたのかは残りません。事務棟と生産棟をつなぐ通路にゲートがなければ、二つの建物を行き来した人は片方の数字に残ったままです。退場処理をせずに帰った来訪者は、一晩中在室のままです。ゲートの数字が間違っているのではなく、ゲートが答えるように作られた質問が違うのです。

したがって在室人数は、ゲートの記録を補正する方法ではなく、別のデータとして数える方が適切です。人が身につけて持ち歩くタグを各フロアに置いた受信機が捉えれば、「今どのフロアにいるか」が状態として残ります。

II. 人数把握のために、フロアとエリア単位でのみ保存するという設計

位置測位という言葉を聞くと、人の座標が秒単位で残る画面を思い浮かべます。ただ、半導体工場でその画面を作ろうとすると、導入前に乗り越えるべき議論が長くなります。労使協議では「どこまで見えるのか」が争点になり、個人情報の検討範囲が座標履歴の全体にまで広がります。

ORBROの半導体工場向けの人員安全管理は、入退室管理の記録とは別に、保存単位をフロアとエリアに定めます。従業員は社員証ケースにORBRO Tag IDを入れて携帯し、建物の各フロアにTwinTracker UWBを設置します。ORBRO Serverは事業所ごとに今入っている人数を数えて管制画面に表示し、人は「生産棟の3階にいる」という単位で記録されます。どの机の横に何秒立っていたかは保存の対象ではありません。

この選択は法解釈ではなく設計上の決定です。安全点検の資料として提出するのはフロア別の人数と所在確認ができない人の数であって、個人の移動軌跡ではないため、保存単位をそこに合わせるのです。保存範囲が狭くなれば、協議で説明する内容も狭くなり、検討する文書も減ります。そして、フロア別の数字一行の方が、数百の座標よりも先に点検者への答えになります。

三つの方式を並べると違いが見えます。

区分 ゲート集計 フロアとエリア単位の位置 連続座標の追跡
保存単位 ドア通過時刻 フロアとエリア、進入と退出の時刻 秒単位の座標
答えられる質問 今日誰が入ったか 今どのフロアに何人いるか 誰がどの場所に何秒いたか
事前協議の範囲 すでに運用中 フロアとエリア記録の保存期間 座標履歴の全体
主な用途 入退場管理 安全点検、避難、SOS対応 工程分析など別の目的

安全管理に必要なのは中央の列です。右の列が必要な現場もありますが、それは別の目的と合意で扱うべきことです。

III. クリーンルームと機械室でUWB位置測位の受信機はどこに取り付けるのか

設計が決まれば、次は現場の条件です。半導体工場のフロアはオフィスのフロアとは違います。

UWB位置測位の受信機であるTwinTracker UWBはフロアと通路ごとに設置し、信号の弱い区間が残らないよう到達範囲を30%ほど重ねて配置します。順序があります。階段と出入口を先にカバーします。人がフロアを変える地点が階段で、建物を変える地点が出入口であるため、ここを取りこぼすとフロア別の数字がずれます。

機械室とクリーンルームでは設備が信号を遮ります。図面だけを見て配置すると、稼働中の設備の陰で受信が途切れる区間が生じるため、稼働状態で実測して位置を決めます。また、図面とカメラの座標を同じ基準に合わせる必要があるため、最新の図面を先に確認します。増設が多い事業所ほど図面が現場より遅れがちで、古い図面の上に描いたエリアは実際の壁とずれてしまいます。

受信機がどのような機器で、配線がどのようにつながるかは、UWB位置測位システムの構成に関する記事にまとめています。

IV. 画面には0が二つあります

フロア別人数の画面で最初に覚えるべきことは、0の読み方です。

複数の事業所とフロアの人数が一つの画面に集まります。ところが、まだ機器を設置していない事業所も同じ画面に0として残ります。この0は「誰もいない」ではなく「まだ数えていない」です。ORBRO OSは未構築の状態と人員なしを区別するため、点検者が0を見て安心することも、担当者が0を見て慌てることも減ります。0と「なし」は異なり、画面はその違いを隠してはなりません。

同じ原則は、位置が確認できない人にも適用されます。電池残量の少ないタグと、今日信号が届いていない人がリストにまとまります。信号の喪失と当日未受信を分けておけば、点検対象と未着用を分けて確認できます。残量不足とみなす値と、未受信とみなす時間は、運用基準に合わせて設定しておきます。

名前が必要になる場面は別にあります。フロアを選ぶと実際の平面図の上に人の位置がマーカーで表示され、名前や所属で検索するとその対象が強調され、周囲の人員も一緒に見えます。事故調査では日付と対象を選んでその日に通った経路を再生し、フロアごとの滞在の開始時刻と終了時刻が表にまとめられます。普段は名前を呼ぶ必要がなく、必要なときだけ名前を呼ぶ画面です。

V. SOSボタンが押された後、避難の人数確認まで

緊急事態に陥った従業員が社員証の側面ボタンを押すと、名前とフロア、エリアが管制画面の最上段に表示されます。ここでフロアとエリア単位で保存する二つ目の利点が現れます。管制担当者は座標を解釈する必要がなく、「4階の東エリア」へすぐに動けます。

呼び出し地点に近いカメラの映像が同時に開き、現場の状況を先に確認します。接続が切れたカメラは最後の映像と接続状態を別々に示すため、画面が止まったのか状況が止まったのかを取り違えません。位置と映像が同じ画面にあってこそこの判断が速くなり、ORBRO OSは二つのデータを同じ図面の上に載せます。

来訪者も同じ体系の中にいます。来訪者情報と来訪証の番号をひもづけておけば、入場から退場までが一行で残り、退場処理がされていない来訪証は回収対象のリストに載ります。

避難機能を連携すると、現在の在室人数から除外対象の人員を除いて避難対象を数え、避難の人数確認を進めます。避難が始まると、対象の総数、完了、未避難の人数とフロア別の進捗率がリアルタイムで更新され、残留の推移と未避難者の名簿を併せて確認します。終了後は所要時間と結果が報告書として残り、訓練の結果も同じ記録体系に蓄積されます。名簿はあるのに位置がなかった問題については、物流センターの火災避難における人数集計の記事で別途取り上げています。

VI. 導入前に決めておくと早くなる五つのこと

1. 保存単位と保存期間

フロアとエリア単位で保存するという原則と保存期間を、まず文書として定めます。この二行が協議の大部分を代替します。

2. 避難の除外対象となる人員の基準

在室人数から除くべき人が誰か、例えば外出扱いの人員や交代の引き継ぎ中の人員をどう扱うかを決めます。集合完了の基準は事業所の緊急対応手順に合わせます。

3. 未着用と信号喪失の判定基準

何時間未受信であれば確認対象に上げるか、電池残量が何パーセントから交換対象とみなすかを決めます。

4. 来訪証の回収手順と閲覧範囲

退場処理を誰が行うか、協力会社の人員情報を誰がどこまで閲覧できるかを決めます。

5. 実測の日程と最新の図面

クリーンルームと機械室の実測は稼働状態で行う必要があるため、生産日程と合わせます。最新の図面がなければ、図面の確保が最初の日程になります。

おわりに

半導体工場の入退室管理と人数把握の出発点は、精密な座標ではなく信頼できる数字です。フロア別に何人いるか、そのうち確認できない人が何人か、画面の0が「いない」なのか「まだ数えていない」なのかを区別できれば、点検と避難、SOS対応が同じ画面の上でつながります。保存範囲をフロアとエリアに絞った設計が、導入を軽くし、画面を読みやすくします。

ORBROは、社員証タグとTwinTracker UWB、カメラと入退場記録をORBRO OSという一つの図面の上に載せる構成を自社で作っています。半導体工場向けの所在確認とSOS対応の構成はORBRO OSの製品ページでご確認いただけます。事業所の構造やフロア数、協力会社の人員規模によって受信機の配置と運用基準が変わりますので、現場の条件をお知らせいただければ、一緒に検討いたします。